【伝泊連載】おじ・おばと語らんばvol.4!美しい海を臨む用集落について安田順一さんにインタビュー
伝泊の広報がお送りする連載「おじ・おばと語らんば!」第4弾。
「語らんば」とは、「語らないといけないね」という意味。少しずつ失われていく集落文化の事や、おじ・おば達の思い出話を、もっと知ってほしい!後世に残したい!という思いからスタートしました。
今回は、用(よう)集落出身の安田 順一(やすだ じゅんいち)さんに奄美大島出身の広報 岡村がインタビュー。美しい海岸を持つ用集落の魅力について教えてもらいました。
プロフィール
・氏名:安田順一
・年齢:87歳(取材当時)
・出身:用集落
※島の人は、実際の兄弟でなくとも目上の人や年上の人のことを男性は「兄(あに)」、女性は「姉(ねえ)」と呼びます。今回も記事内では親しみを込めて「順一兄」と表記させて頂きます。
用集落はどんな集落?
岡村「順一兄、今日はよろしくお願いします。伝泊の古民家の近くにお住まいだったんですね!もうずっと用集落にお住まいなんですか?」
順一兄「出身は用だけど、私も長いこと東京で働いていて用に戻ってきたのは平成14年だよ。あまり詳しいこと話せないかもしれないけれど、少しでも用のこと伝えられるよう頑張りますよ。」
岡村「ありがとうございます!では早速、用集落はどんな人達が住んでいるんでしょうか?」
順一兄「そうね~。昔は教員や弁護士になる人が多かったよ。特に戦後は。私の祖父も先生だった。だから”学問の用”なんて言われているときもあったな。教育に熱心で謙虚な人が多かったかもね。今は、海が好きな人や農業がしたい人なんかが移住してきてるよ。移住したい人から空き家を紹介してもらえないか、って連絡がきたりするね。用に住みたいと思ってくれるのは嬉しいね。」
集落の自慢ポイント
岡村「移住者に注目されてるんですね。順一兄の思う”集落の自慢ポイント”はなんでしょう?」
順一兄「それはもう、目の前の美しい浜よね。これがなによりも自慢。自宅の2階から眺めるのがまたいいんだ。たまにね、泳ぎに来た人がシャワーを借りに来たりするんだよ(笑)浜にはシャワーがないからね。声をかけてもらえれば、いつでも貸し出しているよ。」
岡村「えぇ!さすが順一兄…。誰でも優しく対応していくれる温かさは、奄美島民の共通ですね。そして海の美しさは、奄美出身の私でも驚きました。こんなに美しいビーチが残っているのは誇りですね。」
岡村「そういえば用には”他の集落には無い踊り”があると聞きました。」
順一兄「”用しゅんかねくゎ踊り”のことだね。ハブよけの祭りとも言われていて、以前はお正月によく行っていたんだよ。昭和20年代前期の頃,用集落出身の人が振り付け等を整えて大島高校で披露したのが始まりと言われているそうだよ。」
岡村「18年近く奄美に住んでいましたが、踊りの事を全然知りませんでした…!今も実施されてるんでしょうか?」
順一兄「座って踊る必要があるんだけれど、高齢化に伴って継続が難しくなっているね…4年ほど前、僕が区長だったときに一度だけ実施したけれどそれ以降はコロナの関係もあって、できていない。でもコロナ前は60~70歳の人たちで集まって練習をしていたし、奄美博物館の方々の協力で映像に記録もしている。なんとか継承できるよう工夫していきたいと思っているよ。」
用集落で観光するなら?
順一兄「もちろんまずはビーチだよね。美しいんだけど、意外と波が荒いところだから泳ぎには向いていない。もし泳ぐときは注意してほしいね。あとはよくウミガメがいるので、それも魅力の一つかもしれないね。」
岡村「用集落には”夢をかなえるカメさん”という像もありますもんね。カメさんの体に触れるとご利益があるとか…。」
順一兄「そうそう。最近そこに訪れる観光客を見かけるようになったね。あと、像があるところには灯台があるんだけど、上まで登っていくと太平洋と東シナ海が一望できる。そこからの夕日はとっても美しい。用は朝日も夕日も見られるのもポイントだね。」
岡村「私もこの前初めて登ってみたのですが本当に感動しました。一緒に登った東京の友達はまるでハワイだと興奮していました(笑)美しいビーチに美しい景色は、ずっと守っていきたい集落の自慢ですね。」
余談
実は、安田順一さんは前回取材させていただいた「川見迪夫」さんにご紹介いただきました。川見さんがお話してくれた須野ダムの周りに桜の植樹をしたのが、安田さんたち笠利中学校 第3回卒業生の皆さんでした。国際的な桜のコンテストで表彰もされたことがあるんだと嬉しそうに教えてくれました。ぜひ川見迪夫さんの記事も読んでいただけたら嬉しいです。
美しいエメラルドグリーンの海にどこか懐かしさを感じる用集落
美しい浜の話の中で、順一兄が「子供たちには、用集落の海を原風景として憶えておきなさい。その景色を思い出せば、おおらかな気持ちになってどんとな時も落ち着いていられるからと伝えているんだ。」とにこやかに語ってくれました。
なぜか昔もここに来たことがあるような、そんな懐かしさを感じさせる用集落にぜひ一度足を運んでみて下さい。
「おじ・おばと語らんば!」概要
伝泊広報課メンバーが、奄美大島北部・笠利町を中心に、少しずつ失われていく集落文化や伝統、おじ・おば達の思い出話をインタビューする企画。
各集落の魅力をもっと知ってほしい!後世に残したい!という思いからスタートしました。ぜひ気になる集落を見つけて、訪れてみてください。もっと奄美が好きになるはず。