vol.17 さねん秋色

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“Amami”はイタリア語で「私を愛して」という意味。
そう、奄美には愛さずにはいられない魅力が溢れています。
自然、食、人etc.、愛すべき奄美の魅力を島人の目線でお届けします。

月桃という植物をご存知でしょうか?

島ではサネンと呼ばれ、庭にはもちろん、島のいたるところに自生する身近な植物です。
英名をシェルジンジャー。ショウガの仲間です。ランのように華やかな満開時よりも、白い小さな貝にちょこんと紅をさしたようなつぼみの姿のほうがよく知られているのではないでしょうか。
この月桃、梅雨のころに花を咲かせ季節の風物詩になっていますが、島外の方がその後の姿を見る機会は、そう多くありませんよね。

花の終わった月桃がどんな姿なのか。
まず、夏の頃にはピンクのフリルを付けた若々しい青い実がなります。

そして秋。
サシバの鳴く頃になると、その実が真っ赤に熟してこんなに美しくなります。

花も実も美しい月桃ですが、私はどちらかといえば、実の方が好きです。
秋とはいえ、日中には夏日が続き、紅葉とも無縁な奄美において、鮮やかすぎず思慮深い赤が連なる月桃の実は、私のイメージする秋そのもの。

切って来て飾れば部屋の中にも秋を呼び込めます。
そして、この月桃の実は嬉しいことにお茶になります。実を乾燥させて煎じれば、月桃特有のスパイシーな香りのお茶のできあがり。

ショウガの仲間だけあって、そのお味はマイルドなジンジャーティーのようです。

まーぐん広場・赤木名 のカフェでも月桃茶を飲むことができますよ。こちらは葉っぱの方を使ったお茶です。
たっぷりのポリフェノール、食物繊維も含まれ女性に嬉しい成分がたくさん♫。

さらにさらに、まーぐん広場のギャラリー では、夏に展示をしていた種水土花ブランドの月桃枕も展示販売されています。
こちらは月桃の茎と葉を乾かし裂いて編んだ枕で、中には乾燥させた月桃の葉もたくさん入っています。

そうです。つまりは月桃茶が詰まった枕。月桃茶がどんな香りなのか知りたければ、まーぐん広場の月桃枕を手に取ってみてください。そのえも言われぬ香りときたら!
この香りに包まれて眠るなんて、なんて贅沢なんでしょう。
伝泊 The Beachfront MIJORA 用の特注品なので、宿泊された方はその幸福に浴することができますよ。

さて、今日の共通歌詞。
秋の夜長、ということで夜つながりです。

「夜(ゆる)走(は)らす舟や 暗礁(かくれず)ど 仇(かたき) 加那(かな)待(ま)ちゅる夜(ゆる)や友達(どぅし)ど 仇(かたき)」
夜に航行する舟は見えない岩礁が危険だ。恋人を待っている夜には友達が危険だ。

ええっ、友達危険ですか?夜の暗礁並みに?命にかかわってますよ、それ(笑)

そんなに人の恋路を邪魔したりされたりしてたのかしら?
夏場は暗くなるのが遅いので、遅くまで畑仕事をしていまいます。秋になれば仕事が終わる時間も早くなり、しかも涼しくなるので、恋人たちにとっては待望の季節ですね。

秋の夜長、月桃茶をお供によい時間を。

 


【プロフィール】渋谷陽子
宮城県出身。2011年6月に奄美へ。
現在笠利町で夫と共にパッションフルーツ農園を営んでいる。
音楽、伝統行事、古くからの習俗、和服が大好きなオカリナ奏者兼業農家。
まるか農園 「まるかの明日」
https://amantropico.amamin.jp/

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