集落に眠る空き家をリノベーションした一棟貸しの宿泊施設「伝泊 古民家」。
「伝泊 古民家」には、奄美大島ならではの建築特徴が残っており、伝泊はその建築特徴も未来につないでいきたいという思いから宿が誕生しました。

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奄美大島の建築が生まれた背景

奄美大島の建築は、東南アジアと琉球と薩摩のほか、台風や湿気、ハブ対策による影響を受けています。
島が経済的に豊かでないため建材に適した材料を輸入できず、地元産の細い曲がった広葉樹でしか作らなければならない理由から、奄美大島独特の建築文化が生まれました。
伝泊では、その伝統建築の定義付けを、文献と博物館の学芸員の力を借りて行いました。

 

奄美の伝統建築の7つの条件

台風対策のための珊瑚石や生垣・防風林やブロック塀


敷地の周りは、最大瞬間風速40~60mの風に耐えうるための1.5〜2Mの高さの塀が設けられています。
昔の素材は珊瑚石や生垣・防風林でしたが、最近はコンクリートブロック塀に変わっています。
その理由は珊瑚石が法律による規制で採取できなくなったことと、車道のための道路拡幅が必要になったからです。

分散型の配置計画


奄美の建築材料が細く曲がったものが多いこと、台風の影響が非常に強いことが理由で大きな建物を造る技術も発達しませんでした。そのため敷地内には、母屋と水屋と家畜小屋、納屋、便所等小さな建物が3〜5棟配置され、困難であった水の取得を解決するための井戸も必ず設けられています。
少し裕福な家には、奄美独特の穀物保存倉庫である高倉が敷地内に現存する家もあります。

平屋と屋根形状の歴史


風が強いこと、建築的な技術があまり発達しなかったことから、奄美群島全域で平屋が多く見られます。屋根の形状は、大きくは二つの地域からの影響を受けています。奄美大島南部は琉球の影響を受けた寄せ棟造りが多く、北部は薩摩の代官屋敷が置かれていたこともあり、薩摩の影響を受けた格式の高い入母屋造りが多く見られます。

高床


東南アジア及び琉球の影響を受け奄美大島全域の民家は高床式で建てられており、床の高さは琉球よりもわずかに高い約60〜75cmです。高床の理由は三つあります。湿気対策とハブ及び害虫対策、そして特に重要なのが台風の強い風を上下に受け流すことで、石場建てで固定されていない建物が倒れないようにと計画されています。

ヒキモン構造


奄美は、バリ島や東南アジア地域からの影響で、束石の上に乗せただけの柱が土台を貫通して梁まで伸びている「ヒキモン構造」が多く見られます。これも台風対策の一環で、足元周りや建物全体の強化をするための先人たちの知恵です。

独特の平面計画


母屋の間取りはメインの部屋(オモテ)を外廊下で囲い込み、その廊下が玄関の役割も果たしていたため、古民家では玄関が存在しませんでした。それぞれの用途を持つ建物は分散配置でしたが、最近では外にあった便所が廊下の先に設置され、台所も昭和に入って母屋に付き、半屋外の作業場としても活用されていました。

奄美の材料


奄美には、さまざまな植物がみられますが、建材として優れたものは取れませんでした。それでも、シロアリに強い曲がった柱や梁材をうまく利用して組み立てています。屋根は茅ぶきでしたが、ほとんどの建物は昭和に入りトタン屋根に葺きなおされています。また清めのために庭に珊瑚石や海砂を敷き詰めた家も多くみられます。

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