ごあいさつ

世界遺産登録に向けて注目を浴び、島全体が大きく変化しようとしているなか、奄美出身の建築家として、何をすべきなのか…。

そう考えている時に、集落の空き家問題の相談を受けました。空き家となった古い家屋は、壊して新しく建て直すという選択肢もあったかもしれません。しかし、伝統的な建物を残し、島の歴史を多くの人に知ってもらい、次の世代につないでいくことで、島を守りたいという想いから、宿泊施設としての再利用を提案しました。こうして生まれたのが「伝泊」です。

「伝泊」の条件は、島の伝統的構法を7割以上残す建物である、もしくは島にとって伝説的な建物であること、島の魅力を体感できるロケーションであること、集落の人たちが協力的であることです。条件に合う空き家を選び、可能な限り建物としての歴史や良さを残しつつ、滞在する人が快適に過ごし、集落と交わるような空間を作りました。2016年、奄美大島の笠利町の2棟から始まり、3年間で、奄美大島、加計呂麻島、徳之島の3島に約20棟、今後、喜界島や沖永良部島、与論島でも展開する予定です。

「伝泊」と同時に、子どもたち、高齢者、障がい者、集落住民、それに加えて外部からの旅行者、だれもが集い、交流できる場所づくりに取り組んでいます。それが「まーぐん広場」です。「まーぐん」とは、奄美の言葉で「みんな一緒に」という意味。ここは、ホテル、高齢者施設、レストラン、物販店など、様々な機能を集めた複合施設です。

この「まーぐん広場」を中心に、赤木名の集落には工房付き伝泊を含む数軒の伝泊やドミトリー&コインランドリー、従業員宿舎などをつくり、集落全体の活性化を目指しています。

これからも、島の物語を語り継ぎながら、島の人と訪れる人、みんなが幸せになれる場所を作り続けてきたいと考えています。

建築家/山下保博


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